「70億人の世界×70億人のアクション」キャンペーンとは

▶ はじめに
▶ 「70億人の世界」の「7つの課題」

はじめに

2011年10月31日、世界人口は70億人に到達します。

国連人口基金は、ニューヨーク本部を中心に世界中で様々なパートナーと提携し、この「70億人の日」に向けて、世界各地で様々なイベントや企画を行います。それを受けて国連人口基金東京事務所は、日本国内で「70億人の世界×70億人のアクション」キャンペーンを実施します。

このキャンペーンでは、「70億人の世界」に生きるすべての女性、男性、そして子どもが健康な生活を送り、平等な機会を享受できる世界を実現するために、自分ができることを考え、アクションを起こすことを呼びかけます。

キャンペーン期間中、イベントやウェブサイト、ソーシャルメディアを通して、一般の方々から「70億人のアクション」宣言を募集します。これは、70億人の一人ひとりが世界の課題を知り、それを解決するために身の周りのことから具体的なアクションを起こす、と宣言することです。

そして、宣言するだけでなく、実際にアクションを実行するまでを、応援していきます。

つながっている日本と世界

今年3月11日の東日本大震災による東北地方を中心とした甚大な被害に対して、日本各地からだけでなく日本が支援を行っている途上国も含めた世界各国からも温かい支援が集まりました。そして、この未曾有の大災害は、日本と世界がつながり支え合っていることを教えてくれました。

「70億人の世界×70億人のアクション」キャンペーンでは、日本が直面している問題から、世界の抱えている様々な課題で、このつながっている 「70億人の世界」について関心を持ち、それを解決するために、身の周りのことから「70億人のアクション」に起こすことをみなさんに呼びかけていきます。

人類にとって節目となるこの10月31日は、挑戦(challenge)と機会(opportunity)であるとともに、私たち一人ひとりが行 動(action)を起こすきっかけとなるはずです。

このキャンペーンを通して、私たちが「70億人の世界」に生きることの意味を問い、地球規模の課題の解決に向けて、まずは身近なことから一人ひとりがアクションを起こしていきましょう。

「70億人の世界」の「7つの課題」

人口70億人が生きるこの世界は、多くの複雑な問題を抱えています。国連人口基金では7つの分野における「7つの課題」を提示しています。

「貧困と不平等」、「女性と少女」、「若者」、「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」、「環境」、「高齢化」、「都市化」。

すべて、70億人の世界を構成する私たち一人ひとりに関わる地球規模の課題です。このような課題に直面している世界は、かつてないほどに密接につながることにより、計り知れない可能性を作り出しています。私たちは今、膨大な量の情報やアイデアを共有し、また協力して、世界の共通課題を解決する必要があります。

まずは、現代社会の課題を把握し、あなたがキャンペーンにどう参加できるのか考えてみてください。一人ひとりの行動が、大きな数となり世界を変えることができます。

また、この「7つの課題」以外にも、70億人それぞれが独自の立場や視点から、自分が大切にしたいテーマを見つけ、実際にアクションを起こすことも応援していきます。

私たちは共に協力し合い、支え合う70億人なのです。

「70億人の世界、7つの課題」 -いま、私たち一人ひとりが協力するとき-

① 貧困と不平等:悪循環を断ち切るために

現在も世界人口の25%以上の人が、一日に1.25米ドル以下という最貧困の生活に苦しんでいます。また、国と国との間の格差だけではなく、国内の貧富の差も依然として問題となっています。貧困、食糧不足、そして高い死亡率と出産率は、保健医療や教育に対する投資を増やし、特に女性や少女に対する対応を強化することで、この悪循環を断ち切る必要があります。

貧困と不平等:悪循環を断ち切るために


② 女性と少女:エンパワーメントが発展を促す

現代社会が抱える多様な課題の解決には、女性と少女に対する不平等を解消することが重要な鍵となります。非識字者のうち、女性が全体の2/3を占め、15-24歳のHIV感染者のうち女性は同年代の男性に比べ2倍となっています。女性の命を守り、社会的経済的自立を促すことができれば、子どもや家族全体の健康と地域や国の発展にもつながります。

女性と少女:エンパワーメントが発展を促す


③ 若者:未来への原動力

25歳以下の若者の人口比率は世界で43%、途上国では60%に及びますが、多くの若者の命がHIVや事故、暴力によって失われています。健康や教育を享受でき、適切な仕事を得ることができれば、若者は経済的な成長や世界を変えるための大きな力となりえます。
次の世代を担う若い世代の権利を守り、自立を促すことは、開発を進め未来を築くことに直結するのです。

若者:未来への原動力


④ リプロダクティブ・ヘルス/ライツ:全ての命を守るために

毎日1000人以上の女性が、妊娠や出産が原因で命を落とし、2011年には580万人の乳幼児が最初の誕生日を迎える前に亡くなると推定されています。母親への教育は乳幼児の死亡率を下げることにもつながります。全ての子どもが望まれて生まれてくること、安全な出産を迎えることが重要です。
質の高いリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)に関するサービスを提供することは、妊産婦の死亡率を下げるだけでなく、子どもや社会全体の健康にもつながります。

リプロダクティブ・ヘルス/ライツ:全ての命を守るために


⑤ 環境:地球環境の保護が、私たちの生活を支えていく

世界人口の約7パーセントである最富裕層は、世界の二酸化炭素の半分を排出し、気候変動の大きな原因となっています。その一方で、約12パーセントの人は安全な水を手に入れることができません。世界人口の増加に伴いエネルギー需要が高まる中、多様な生態系を守り、全人類が平等に生きる方法を模索する必要があります。
現在の70億人のニーズを満たすとともに、来るべき世代のために、この複雑な自然を守るのが人類共通の課題です。

環境:地球環境の保護が、私たちの生活を支えていく


⑥ 高齢化:前例のないチャレンジ

多くの国が豊かになり医療技術が発展したことで、1950年から今日にかけて、世界人口の平均寿命は48歳から過去最高の69歳(男性67歳、女性71歳)へと延びました。死亡率も低下した結果、高齢化はますます深刻な地球規模の課題となっています。高齢化は、特にアジア、ヨーロッパ、ラテン・アメリカでは重要な課題です。また途上国でも早いペースで高齢化が進んでいるため、国際社会全体で対応する必要がある問題となっています。社会保障、保健医療、年金制度など、社会・経済構造に関しても適切な対応が求められています。

高齢化:前例のないチャレンジ


⑦ 都市化:これから都市はますます大きくなる

これから増加する20億人の人口は、都市部に集中すると予測されています。より良い仕事と収入を求めて都市に流入してくる人々の動きに対応できず、都市のスラム居住者数が増えるという問題が生じる一方、都市化は核家族化を加速させ、女性と若者の自立の機会を提供する可能性も有しています。
都市が抱える問題と可能性を、ともに考慮して対処することが必要です。

都市化:これから都市はますます大きくなる


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